
当社が2025年7月に京都開催の国内最大級スタートアップイベント「IVS(アイブイエス)」のピッチコンテスト「ローンチパッド」で優勝(スタートアップ京都国際賞受賞)したことを受け、同8月18日に都内のイノベーション拠点で報告会・交流会を開催しました。受賞については国際的な経済有力誌フォーブスジャパン電子版でも掲載されており、同会では同誌ライターで投資家の戸村光氏(hackjpn代表)との対談で、当社服部淳一社長は優勝したことの受け止めや創業の経緯、事業展開などを紹介しました。同会にはイベント関係者やスタートアップ経営者ら約50人が出席し、和やかな雰囲気の中で有意義な懇親会となりました。
報告会には、イベントの主催者であるIVS代表の島川敏明氏をはじめ、環境エネルギー投資の林隆介氏、キープレイヤーズ代表の高野秀敏氏、戸村光氏、服部社長に加え、会場の大手町ビル「O Club」(東京都千代田区)に入居するスタートアップ企業の経営者らが出席。当社は半導体製造装置や医療施設向けなどの遮蔽(へい)材、EV(電気自動車)・ハイブリット生産設備などの精度向上や環境に貢献する新素材の提供を目指していますが、対談では事業内容や独自製品、有力企業の出資状況や共同開発、今後の成長戦略などを創業者の服部社長が説明しました。

約10年前、半溶融状態の金属を成形する世界トップクラスの「溶湯鍛造法」(ようとうたんぞうほう)に魅了され、文系出身の服部が「素人でも良いとわかるもの」「単純なものほど誤魔化しが利かない」との理念に基づき、「この素材の時代が必ず訪れる」との確信から当社を起業。「日本から発進する技術の育成を目指す」という志を抱き、「地球の未来を素材で支える」などの企業の社会的責任(CSR)に着目しながら数多くの製品開発を推進した経緯などを述べました。さらに「高精度化には当社製品の採用が不可欠になることを目指し、次世代マテリアル企業として、イノベーションを起こし世の中になかったものを新たに開発し世の中を変えたい」との考えを示しました。
当社の主力商品のひとつ、放熱材料は銅やアルミを採用するのが一般的で、従来は低熱膨張と高熱伝導の両立は不可能と思われています。この両立を当社の新材料が実現し、性能効果の長寿命化でコスト面でも貢献することから、国内外の有力メーカーとの試作品づくりが始まり量産化の実現に移行する段階に入りつつあります。他製品でも空調大手メーカーとの協業も順調で、出資を受け本格受注に向け最終段階に入っています。
また、同会はピッチコンテスト優勝についての検証の場となりました。ディスカッション形式で行われ登壇者からは「ピッチの内容が良く、事前にかなり練りこまれた上でプレゼンされていた。表現力も優れており並みでなかった」(高野氏)、「伝えたいことがインパクトをもって伝えられたようだ」(林氏)との評価を得ました。またイベント主催者からは選考する上で重要な点については、「全体的には事業の実現性と事業のシードのバランスをみている。エンターテイメント性があり審査員の投資家に納得してもらえるピッチを求めている」(島川氏)という方針が明らかになりました。
IVSは国内外のスタートアップなどが一堂に会する日本最大規模のスタートアップカンファレンス。2007年にスタートし、今年で19年目となります。23年からは3年連続で京都で開かれ、今年は7月2日から7月4日にかけて「IVS 2025」(IVS KYOTO実行委員会)が開催されました。総来場者約1万3000人。メインイベントとなるピッチコンテストにはスタートアップ企業約350社が挑戦しています。